―滌除・増加競売の復活を―
住宅ローンは、多くの人にとって人生最大の借入である。
しかし、住宅ローンを組んだ瞬間、建物や土地には抵当権が設定される。
法制度上は所有権者であっても、返済不能となれば最終的には競売という形で住まいを失う可能性がある。
もちろん、金融システムには貸し手保護も必要である。
銀行が回収可能性を担保できなければ、住宅ローンそのものが成立しなくなる。
しかし一方で、現在の制度は、生活者目線から見ると抵当権が非常に強くなっているようにも感じる。
住宅は単なる資産ではない。
家族が住み、生活し、思い出を積み重ねる場所である。
所有権とは、本来もっと重みのある権利ではないだろうか。
かつて存在した「滌除制度」は、一定条件の下で所有者が抵当権者へ金銭を提供し、抵当権を消滅させる制度であった。
制度上の問題点もあり廃止されたが、現在の住宅ローン問題を考えると、「所有者救済」という観点から再検討の余地があるのではないかと思う。
また海外では、ノンリコースローンの仕組みも存在する。
これは、担保不動産を超える債務について、債務者へ請求を限定する考え方である。
もちろん日本と制度背景は異なる。
しかし共通しているのは、
「人の生活再建をどう支えるか」
という視点である。
日本では、経済・生活問題を原因・動機の一つとする自殺も一定数存在している。
住宅ローンは数字だけの問題ではない。
その背後には生活があり、人生がある。
金融システムの安定と、生活者保護。
この二つのバランスについて、改めて考える時期に来ているのかもしれない。
※本記事は法制度に対する個人的な考察・意見です。